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2012年04月03日 (23:20)

それから

何か大事なことを始めたり、しようと決めるとき、誰かの言葉が切っ掛けになったりする。それは唐突に自分の心の中に滑り込んできて、変化という力動を与えてくれる。それは悩んでいるのは、世界には自分ひとりではなかったという仲間を得たような心強さからくるような気もする。ずっと昔にも色々な人がいた、そんな人々に想像を廻らせると、いつか自分自身もその中のひとりになるような気もして、この言葉が、未来を生きる誰かの為になれたらなと想ったりもする。

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忽ち赤い郵便筒が眼に付いた。するとその赤い色が忽ち代助の頭の中に飛び込んで、くるくると回転し始めた。傘屋の看板に、赤い蝙蝠傘を四つ重ねて高く釣るしてあった。傘の色が、又代助の頭に飛び込んで、くるくると渦を捲いた。四つ角に、大きい真赤な風船玉を売っているものがあった。電車が急に角を曲がるとき、風船玉は追懸て来て、代助の頭に飛び付いた。小包郵便を載せた赤い車がはっと電車と摺れ違うとき、又代助の頭の中に吸い込まれた。烟草屋の暖簾が赤かった。売出しの旗も赤かった。電柱が赤かった。赤ペンキの看板がそれから、それへと続いた。仕舞いには世の中が真赤になった。そうして、代助の頭を中心としてくるりくるりと焔の息を吹いて回転した。代助は自分の頭が焼き尽きるまで電車に乗って行こうと決心した。



夏目漱石『それから』

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