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2011年10月02日 (08:34)

電脳コイルAR雑感

ARとはAugmented Reality(拡張or増強現実)の略。電脳コイルの中でのそれは、世界そのものが電子化されて、尚且つその重なりがユビキタスレベルで保持されているシステムのようだ。路地の片隅に生える雑草、その下にある側溝にまで、電子化の波は及んでいるようで、なんだか考えただけでも眩暈がしてくる。なんでもない風景がデータ化されることで、価値観を再獲得できる感覚が巧く表現できないが、電子化されることで、現実は裏付けされ「拡張」されるのではなく寧ろ「増強」されるのだろう。拡張現実の中には、もちろん「自分」もデータ化されていて、それはドッペルゲンガー宛らに、同じ姿をしているが、電子空間座標と現実空間座標の差異が現れない限りは観測することはできない。まるで自分の心と肉体が重なっていて、心そのものが見えないかのように虚ろだ。考えてみればこの脳内に於いて現実はマッピングされていて、肉体は物理的な制約内に止まっているが、心は本来的には物理的制約を超越できる蓋然性を秘めているし、現にそうである場合もある。しかし物理的な制約を、無意識的に心にまで波及させていることに気づかされることも多々ある筈だ。現実の制約を、仮想の世界にまで波及させているように。それでもまったくの自由という構造がありえないのは、肉体が滅びれば心も(おそらく)なくなり、現実がなくなれば虚構も(おそらく)なくなるという構造に内包されている。この(おそらく)の中には、 心が滅びても肉体が在り続け、虚構がなくなっても現実が在り続けるのに、その逆がないのはおかしいという不条理への懐疑に近い感情も、勿論、含まれている。このように虚構によって現実が拡張されるように、心によって私の世界は拡張され続けている。

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